筋トレは危険?怪我を防ぐために知っておきたい3つのポイント

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筋トレは危険?怪我を防ぐために知っておきたい3つのポイント

筋トレに挑戦してみたいと思っても、「怪我をしたらどうしよう」「正しいやり方がわからない」と感じることはありませんか?特に年齢を重ねると筋力の衰えを実感し、健康維持のために筋トレを取り入れたいと思いつつも、どこから始めればいいのか迷う方が多いのではないでしょうか。

私自身、これまで多くの方をサポートしてきましたが、筋トレを始めるにあたっての不安や疑問を聞く機会がたくさんありました。適切な方法で取り組めば、筋トレは体力をつけるだけでなく、日常生活をより快適にしてくれます。でも、やり方を間違えると怪我や思わぬトラブルにつながる可能性もあります。

この記事では、筋トレを安全に続けるために知っておきたいポイントや注意点をお伝えします。読んでいただければ、筋トレを「危険」と思われている方でもリスクを避けながらトレーニングをもっと楽しめるようになるはずです。一歩踏み出したい方も、既に取り組んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。

この記事は、次のような方におすすめです。

  • 健康維持や筋力の衰えを防ぎたい方
  • 安全に筋トレを始めたい初心者
  • 正しい知識でトレーニングを続けたい方

1.筋トレが危険と言われるのはなぜ?

筋トレが危険と言われるのはなぜ?

やり方を誤ると怪我や身体への負担を招くことがあります。ここでは、筋トレが危険と言われる主な理由について詳しく解説します。正しい知識を身につけることで、不安を解消し、筋トレを安全に楽しむ方法を身につけましょう。

筋トレのやりすぎがもたらすリスク

筋トレには健康に役立つ側面が多くありますが、適切な時間内で行わないとリスクが生じる恐れもあります。早稲田大学の研究によると、筋トレの実施時間が週に30〜60分の実施で、総死亡、心血管疾患、がんのリスクが低くなった一方で(約10~20%のリスク減少)、週130〜140分を超えてくると筋トレの好影響は消失し、むしろリスクが高くなったと報告されています。

ですので、健康維持や生活習慣予防を目的とした場合、筋トレの実施時間は、ご自身の体力に応じて30分から60分程度の筋トレを週に1〜2回が適切かも知れません【注1】。

そのため、週に数回、1回あたりのトレーニング時間を1時間以内に抑えることが推奨されており、これにより筋トレの健康効果を最大化しつつリスクを抑えることが可能です。

誤った筋トレは怪我を引き起こす危険も

筋トレは健康に役立つ運動ですが、やり方を誤ると怪我のリスクが高まります。特に、フォームや負荷、休息といった基本的な要素を軽視すると、思わぬトラブルにつながることがあります。このセクションでは、怪我のリスクを高める具体的な要因について解説します。

準備運動不足

ウォーミングアップを行わずに急に筋トレを始めると、呼吸循環器系や関節、筋肉に過度な負担を掛けてしまい、血圧の急上昇や呼吸の乱れなどによって「めまい」や気分の悪さを引き起こしたり、関節炎や肉離れを引き起こすリスクが高くなると考えられます。

ウォーミングアップでは軽い有酸素性運動とアクティブストレッチを取り入れることがおすすめです。例えば、ジョギングやエアロバイクを5~10分行い、身体を温めた後に、関節を動かすストレッチを加えることで、怪我のリスクを大幅に減らせます。

フォームの乱れ

フォームが崩れると、関節や靭帯に過度な負担を掛けてしまい、怪我をするリスクが高まります。特に身体が疲労している時や集中力が散漫な時はフォームが崩れやすく、怪我のリスクがより一層高まる可能性があります。

連日の筋トレは逆効果

筋トレ後の休息は、筋肉の回復に欠かせません。しかし、休息を取らずに連日トレーニングを行うと、筋肉や関節に疲労が蓄積し、怪我のリスクが増加します。適切な頻度でのトレーニングが推奨されており、厚生労働省は週2~3回の筋トレを行い、間に十分な休息を取ることを推奨しています【注2】。

無理な重量設定がもたらすトラブル

トレーニングで早く成果を出したいあまり、自分に合わない重さを選んでしまうと、筋肉や関節に過剰な負担をかけることになります。特に初心者が高重量を扱うと、フォームが乱れたり、怪我につながりやすくなります。

初めて筋トレを行う方の適切な重量設定の目安は、「10〜20回くらいできる重さ」です。トレーナーの補助なしで一人で筋トレをする時には、「あと2〜3回は繰り返せる余裕を持った重さ」で行いましょう。少しずつ負荷を増やしていくことで、身体が慣れ、安全にトレーニングを進められます。重さを増やす際は、まずフォームを確認し、正しい姿勢が維持できる範囲で調整しましょう。

2.筋トレ中に注意すべき危険な行動とは?

筋トレ中に注意すべき危険な行動とは?

筋トレ中の行動が原因で怪我やトラブルが発生するケースも少なくありません。特に、フォームの維持やトレーニング環境、体調管理が不十分だと危険性が高まります。このセクションでは、筋トレ中に避けるべき行動とその対策について詳しく説明します。安全に筋トレを続けるための参考にしてください。

フォームが崩れたままトレーニングを続ける

トレーニング中に疲れが溜まってくると、フォームが崩れることがあります。この状態でトレーニングを続けると、関節や筋肉に過剰な負担がかかり、怪我のリスクが高まります。特に初心者の場合、正しいフォームの感覚が身についていないため、無意識に不自然な動きをしてしまうことがあります。

フォームを維持するためには、トレーニングごとに鏡や動画を使って自分の動きを確認するのがおすすめです。また、1セットごとに適切な休息を取り、疲労がフォームに影響しないよう心がけましょう。

疲労時や睡眠不足のときに筋トレを強行する

体が疲れているときや睡眠が十分でないときに無理して筋トレを行うと、集中力が低下し、怪我をするリスクが高くなります。また、疲労が蓄積した状態では、内臓疲労などから筋肉の回復力も低下する可能性があるため、効果的なトレーニングができなくなる可能性もあります。

疲労がある日は筋トレを控えるか、ストレッチや軽めの有酸素性運動に切り替えるのが良いでしょう。体調に応じた柔軟な対応が、長期的に安全にトレーニングを続ける鍵となります。

十分なスペースや安全対策がない状態でのトレーニング

狭いスペースで器具を扱ったり、適切な安全対策をしないままトレーニングを行うと、事故につながる可能性があります。例えば、バーベルやダンベルを使用する際に周囲のスペースが狭いと、転倒や器具の落下による怪我のリスクが高まります。

安全なトレーニング環境を整えるには、以下のチェックリストを参考にしてください。

  • トレーニングスペースに十分な広さを確保する
  • トレーニングマットや適切な履物を使用する
  • ベンチプレスやスクワットの際にはスクワットラックのストッパーなどを使用する
  • 十分な明るさと換気を確保する

環境を整えるだけで、筋トレの安全性が大幅に向上します。自宅やジムでのトレーニング時にぜひ取り入れてみてください。

3.筋トレで怪我をした場合の正しい対処法

筋トレで怪我をした場合の正しい対処法

筋トレ中に万が一怪我をしてしまった場合、迅速で適切な対処が重要です。間違った対応をすると、回復が遅れたり、症状が悪化する可能性があります。このセクションでは、怪我をした際に知っておくべき応急処置や専門的な対応方法について説明します。

怪我直後に行うべき応急処置

筋トレ中に怪我をした場合で、万が一意識がない場合には、救急車を呼ぶなど適切な一次救命処置を取りましょう。意識があり出血などなく、肉離れなど筋肉の怪我と思われる場合には、すぐに出来る応急手当てとして「RICE処置」が良いでしょう。これは以下4つの手順から成ります。ただし、RICE処置が全てのケースで適切とは限りません。怪我直後の痛みが強かったり、心配な時はすぐさま医療機関を受診しましょう。

  • 安静(Rest): 怪我をした部位を動かさず、負担をかけないようにします。
  • 冷却(Ice): 氷や冷却パックを患部にあて、炎症や腫れを抑えます(1回20分程度が目安)。
  • 圧迫(Compression): 包帯などで患部を圧迫し、腫れを抑えます。
  • 挙上(Elevation): 患部を心臓より高い位置に上げて血流を抑え、腫れを軽減します。

RICE処置は、怪我直後の痛みを緩和させたり腫れを一時的に抑えるものです。長期間に渡り冷やしたり圧迫し続ける事は回復を遅らせてしまう場合もあります。また、筋肉や関節を怪我した場合、怪我の直後よりも数時間後に腫れが大きくなってくる場合も多いです。RICE処置は一時的な応急手当てと捉えて、自分で判断せずに出来るだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。

医師の診断を受けるべき症状とは?

怪我の程度によっては、専門的な治療が必要な場合もあります。以下のような症状がある場合は、早めに医師の診断を受けることをおすすめします。

  • 痛みが強い場合または時間経過とともに痛みが強くなる場合
  • 腫れや内出血が見られる場合
  • 自分で動かすことが困難な場合
  • 骨折や脱臼が疑われる場合

診断後は医師の指示に従い、必要なリハビリや治療を進めましょう。無理にトレーニングを再開すると、怪我が悪化したり再発する恐れがあるため注意が必要です。

再開する際に気をつけたいポイント

怪我から回復した後に筋トレを再開する際は、段階的なアプローチが大切です。怪我をする前と同じ負荷で急に再開するのは禁物です。怪我の後は筋肉の柔軟性が悪くなったり、筋力が下がっている場合が多くあります。まずはストレッチから始めて柔軟性を回復させましょう。そして筋トレも軽い負荷から再開しましょう。以下のポイントを参考にしてください。

  • 出来る限り自分で判断せずに、医師やトレーナーに相談の上、段階的に負荷を上げる

肉離れや筋肉の怪我の場合、ストレッチの時に痛みがないことと、柔軟性が回復していることが、筋トレ再開の絶対条件です。

関節や靭帯の怪我の場合は、治療に長期間必要なケースが多いです。必ず医師の運動許可が出てから筋トレを再開するようにしましょう。また筋力が怪我の前よりも下がっているケースが多いです。軽めの負荷から段階的に上げていくように注意しましょう。

怪我を経験したことで自分の身体について新たに学ぶ機会と捉え、安全性を重視したトレーニング習慣を築いていきましょう。

4.筋トレを安全に続けるためのベストプラクティス

筋トレを安全に続けるためのベストプラクティス

筋トレを効果的かつ安全に続けるためには、正しい方法と習慣が欠かせません。適切なフォームや負荷の設定、計画的な休息の取り方を意識することで、怪我を防ぎながら目標に向かって効率よく進めます。このセクションでは、筋トレを習慣化する際に重要なポイントを具体的に紹介します。

正しいフォームを徹底することの重要性

筋トレで最も重要なのがフォームの維持です。正しいフォームを守ることで、筋肉に効率よく負荷をかけながら関節や靭帯への負担を減らせます。フォームが崩れると、トレーニングの効果が半減するだけでなく、怪我のリスクも高まります。

フォームを確認するには以下の方法を試してみましょう。

  • 動画撮影を活用する: トレーニング中の自分の動きを撮影して、フォームを客観的にチェックします。
  • 専門家の指導を受ける: トレーナーに動作を見てもらい、適切な修正を受けると安心です。
  • 鏡を利用する: ジムや自宅に設置された鏡を使い、リアルタイムで動きを確認します。

トレーニング前にフォームを練習する時間を設けることも効果的です。

無理のない負荷設定で少しずつレベルアップ

負荷を設定する際には、自分の体力や経験に合った重さを選び、徐々にレベルアップすることが大切です。過剰な負荷はフォームの乱れや怪我につながります。

負荷設定の基本ルールは次の通りです。

  • 初心者は、自重トレーニングや軽いダンベルから始める。
  • 「10~20回出来る程度の重さ」から始め、目的に応じて徐々に負荷を上げる
  • 毎週記録をつけ、少しずつ重量や回数を増やしていく。

例えば、週に一度だけ5%ほど重量を増やしてみるのも良い方法です。ゆっくりと着実に進めることで、安全性を保ちながら進化を感じられます。

トレーニング計画と休息のバランスを取る

トレーニングの成果を最大限にするためには、筋肉を休ませる時間も重要です。筋トレで傷ついた筋繊維は、休息中に回復し、より強くなります。過剰なトレーニングは疲労や怪我の原因になるため、計画的な休息を取り入れることがポイントです。

休息とトレーニングのバランスを取るために以下の方法を試してください。

  • 同じ部位を連続して鍛えない(48時間以上の休息を取る)。
  • 週2~3日のトレーニング日を設定し、無理のないスケジュールを立てる。
  • 睡眠を十分にとり、回復を促進する。

例えば、上半身と下半身を交互に鍛えるスプリットルーティンを組むことで、効率よく休息を取れます。これにより、怪我のリスクを減らしつつ、パフォーマンスを向上させることが可能です。

筋トレは継続が何よりも重要です。無理せず、安全を最優先に考えて取り組みましょう。

まとめ

筋トレは健康維持や体力向上に大きく役立つ運動ですが、やり方を誤ると怪我のリスクが高まることがご理解いただけたかと思います。適切なフォームや負荷設定を守り、無理のないトレーニング計画を立てることで、安全かつ効果的に筋トレを続けることが可能です。

この記事でご紹介したポイントを押さえれば、筋トレのメリットを最大限に引き出すことができます。

筋トレを安全に始める3ステップ

  1. 適切なフォームを学ぶ
    筋トレ初心者は、トレーナーの指導を受けるか動画を活用して正しいフォームを確認しましょう。これにより怪我のリスクを抑え、安全にトレーニングを進められます。
  2. 無理のない負荷でスタート
    「10~20回出来る程度の重さ」から始め、目的に応じて徐々に負荷を上げることで安全性を保ちながら筋力を高めることができます。
  3. 休息をしっかり取る
    筋肉の回復を促すため、筋トレ後は48時間以上の休息を設けましょう。休息を取ることでトレーニング効果が高まり、怪我を防ぐことができます。

筋トレは継続が鍵です。一歩ずつ無理なく進めることで、着実に成果を感じられるようになります。

当ブログでは、他にも筋トレや健康維持に役立つ情報を当ブログでご紹介しています。ぜひ、他の記事もご覧ください。

出典リスト

  1. 【注1】:門間陽樹,川上諒子,ほか.筋トレ活動は主要な非感染性疾患の低い発症リスクおよび死亡率と関連する.British Journal of Sports Medicine(電子版).2021.
    URL:https://www.waseda.jp/top/news/78613(参照 2024-11-22)
  2. 【注2】:健康づくりのための身体活動・運度ガイド2023.厚生労働省.
    URL:https://www.mhlw.go.jp/content/001195869.pdf(参照 2024-11-22)